企業インタビュー#1「李碩雨・大韓航空日本地域本部長」

「どうしたら生き残れるか」

玄剛)李碩雨本部長は、日本への赴任が現在で3 度目と聞いています。
李碩雨)そうです。トータルで約10 年前後日本にいることになります。
玄剛)日本での生活はいかがですか?
李碩雨)多くの事を経験させていただきました。偶然も重なっていますが、リーマンショックの時、また東日本大震災の時も東京におりました。そして、3 度目の赴任は2019 年の12 月でした。
玄剛)コロナ禍の直前ですね。
李碩雨)そうです。しかし先程申し上げました通り、その都度多くの事を学び、様々な経験をさせていただきました。
玄剛)学びや、経験というにはあまりにも大きな事が重なりましたね。大変ご苦労されたと思います。
李碩雨)コロナというものは誰しも想像できなかったと思います。正直私も本当にこの先どうしたら良いのか悩んだ時期もありました。2020 年、他の航空会社同様、弊社の実績は大きく落ち込みました。「どうしたら生き残れるか」そこまで考えたこともありました。しかし、今振り返りますと、大変な事もたくさんありましたが、反面、色々な事にチャレンジできるタイミングでもありました。そう考えると、悪いことばかりではなかったと思います。

李碩雨・大韓航空日本地域本部長

 

「韓日架け橋の一役を」

玄剛)「チャレンジ」という言葉がありました。具体的にお聞かせ願えますか?
李碩雨)コロナ禍、自由に海外旅行に行けない時期に力を入れたのが、韓国への留学を希望する日本の学生たちへの支援活動です。 韓国語を勉強するために韓国への留学を強く希望する学生がたくさんいましたが、コロナの状況下、難しい時期が続きました。そこで弊社の職員たちが学校を訪問し、日々変わる入国制限やビザ取得条件の情報などを説明し、韓国に行くお手伝いをさせていただきました。学校との協力関係は今後も変わらず継続して参りたいと考えております。
最近は、若い方々の韓国人気が大変高く、弊社でも職員の採用などをしていますと、学生たちの韓国語の上手さに驚くことが多々あります。若い方々が韓国と日本を往来しながらビジネスや生活、旅行などを楽しみ、韓日の架け橋になっていただきたいと思いますし、私たちもそのお力になれることを行っていきたいと思います。
玄剛)素晴らしい取り組みですね。旅行の話が少し出ました。昨年6 月、韓国政府が外国人観光客への短期ビザの発給を再開し、日本から韓国旅行ができるようになりました。その時、日本にある韓国領事館の前に長蛇の列が出来て、大変驚きました。あの光景を李碩雨本部長様はどの様なお気持ちでご覧になりましたか?
李碩雨)私もあの日、もしかしたら多くの方が総領事館に来るのではと思い領事館に行ってみたところ、想像を遥かに超える多くの方々が行列に並んでいました。これだけ多くの方が韓国への渡航を希望されているという事は、嬉しい反面、今後暑い時期にこのような長蛇の列が続くと大変だと思い、私も出来る範囲で改善を求めました。

インタビューは、東京都港区にある大韓航空日本地域本部にて行われた

 

「地方の期待に応えていきたい」

玄剛)私は宮城に住んでいるのですが、東北最大のお祭り、青森ねぶた祭りに御社のねぶたが登場したと聞き、驚きました。御社と地域の関わりの深さを感じることができました。
李碩雨)青森県の三村申吾知事は韓国が大好きな方です。青森県と弊社は長い間良好な関係を継続させていただいており、コロナ前まで青森と韓国間の航空便を約25 年間運航させていただいておりました。大韓航空が青森県に就航した1995 年当時、弊社便は初の国際線で青森と世界を結ぶ唯一の航空便でした。そんなご縁もあり、三村知事は今でも弊社をとても大事に思ってくださっているというお話を伺い、私も大変嬉しく心に残っています。三村知事の様に韓日両国の事を考えて下さる政治家がいらっしゃることは、両国にとって大変ありがたい事だと思います。
玄剛)青森県との深い絆を感じます。他の地方とはどうですか?
李碩雨)昨年、鹿児島空港が開港50 周年を迎えられ、その記念式に参加させていただきました。また、沖縄を訪問した際には副知事と面談をさせていただきました。その面談の際、多くのメディアの方も同席されており、運航への期待の大きさを感じました。地方にとって観光産業はとても重要であり、その意味でも我々への期待も大きくなります。地域の活性化にもつながる地方路線は、弊社にとりましても大切なものとして考えています。
玄剛)韓日路線というのは、非常に重要な路線だと思います。一日も早く往来が活発化してほしいです。我々も大いに期待しています。
李碩雨)昨年は韓日路線の復便や増便がたくさんできました。今後もご期待に応えるべく努力して参ります。

大韓航空のねぶたは、同社と青森県の絆となった

 

「韓日でのビジネス環境は改善に向かっている」

玄剛)李碩雨本部長は、日本における駐日韓国企業からなる経済団体、駐日韓国企業連合会(以下、韓企連)の会長も務めておられると聞いております。
李碩雨)はい。現在、韓企連は約250 社の企業から構成されています。広く知られているサムスンや、LG、ポスコなども韓企連の会員企業です。会員企業全体では、食品業界などを中心に業績が上がっているところが多いと感じています。
昨年からは韓日両国の雰囲気がだいぶ変化していることを感じており、企業間でも互いに期待感が高まっていると思います。会員企業からは、以前よりもビジネス環境が良くなったとの声を耳にする機会が増えました。

 

「考え方をシンプルに」

玄剛)企業、そして組織トップとして忙しい日常を過ごされていると思います。体調管理等で気にかけている事はありますか。
李碩雨)私はあまり体調管理を気にするタイプではありません(笑)。体調管理とは若干異なるかもしれませんが、考え方を出来る限りシンプルに、単純にしようと心がけています。複雑な事を複雑にずっと考えていても、解決の方向に向かわないのではないかと。複雑な事があっても、できる限りシンプルに考える様にしています。運動に関しては、以前はゴルフやジムも通っていましたが、コロナ禍でなかなかジムにも行けませんでしたので、これからは積極的に通って体調管理をしっかりしようと思っています。
玄剛)本日は、貴重なお話をありがとうございました。

(写真左より)李碩雨・大韓航空日本地域本部長、玄剛広報委員長(宮城韓商会長)

インタビュアー・ 玄剛広報委員長(宮城韓商会長)

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