アジア開発銀行(本部・マニラ)は、アジアの不平等についての報告書をまとめた。
中国を筆頭にアジア各国の経済は好調だが、90年代以降、「途上国では貧困層が豊かになるスピードよりも、富裕層が豊かになる方が速い」と指摘。格差の拡大で社会が不安定になり、成長を妨げる恐れもあると警告している。
調査対象の22カ国・地域のうち、カザフスタン以外では上位20%の富裕層が1カ月間に支出する金額の伸びが、下位20%の貧困層の支出の伸びを上回った。格差拡大の要因としては、都市部とそれ以外で社会基盤への投資や教育水準の違いが大きいことを挙げた。
市場経済化や経済の国際化が一因の事例が目立つとも指摘したが、「(それらによる)途上国の利益は極めて大きく、後戻りの必要はない」と強調。問題の解決には、労働者の技能や保健・教育の質の向上といった政府の施策が必要だ、としている。