ビールと飲料メーカと知られていた内需企業が10年で、世界10位の重工業グループへと生まれかわった。
斗山インフラコアー社は、米ニューヨークでインガーソールランド社と建設重装備、機械部属装置、ユーティリティーなど3つの事業部門の買収契約を締結したと明らかにした。
今回の契約規模は国内企業が国外で成功したM&A中、最大規模の49億ドル。これによって今年4兆4,000億ウォンを予想した売上規模も、7兆ウォンへと増加することとなる。また4兆6,500億ウォンを売上目標とする斗山重工業と合わせれば、斗山は名実共にグローバル重工業グループに名乗りを上げた。
20位圏を行ったり来たりしていた韓国財界での順位(公企業除外)も11位まで上昇し、5年前には1兆ウォンに過ぎなかった斗山グループの時価総額が今では20兆ウォンを超えた。
2005年大宇総合機械(現、斗山インフラコアー)から今回の契約まで斗山の相次ぐM&Aの成功に(2001年から10回)、財界では斗山の事例をベンチマーキングしようとする動きも出ている。というのも韓国の大企業の中でM&Aに成功した事例がそれほどないからだ。
斗山のM&A成功の秘訣は、優秀な人材とノウハウ。現在斗山グループでは金・ヨンソン斗山インフラコアー社長と李・サンフン副社長など、マッキンゼー出身の役員達が戦略業務を担当し、CFP(Corporate Financing Project)チームがM&Aの実務を担当している。
外資系コンサルティング会社と会計法人出身が加わったCFPは、M&Aに関して業界から「ドリームチーム」として呼ばれている。外資系での実務経験と斗山が毎年1~2件推進するM&Aを通じて内部的にもノウハウが蓄積された。
迅速な意思決定も欠かすことの出来ない成功要因。韓国のある証券社の役員は、” M&A は最高経営陣の意思決定のスピードが非常に重要だが、この面において斗山は卓越している”と述べた。
また、タイミングが絶妙だった。中国、インドの経済成長と中東地域のプラント建設ブームなどによって斗山中工業と斗山インフラコアーは超好況を迎えている。斗山中工業は2001年に比べて株価が30倍近く跳ね上がっており、斗山インフラコアーも2年間で3倍上昇した。
世界的流動性の増加という幸運も後押した。これが会社の量的成長を支えたのだ。今回の契約でも総買収額は49億ドルだが、斗山が調達した資金が7億ドルに過ぎず、残りの金額はシティバンクなどから、買収対象を担保にして融資を受けた。これと関連し、外資系証券社の役員は”最近何年間は世界的にも流動性が豊富だった。すなわちM&A資金を調達するのには非常に良い環境だったが、斗山はこれをうまく活用して大型M&Aを相次いで成功させた”と説明した。