不法滞在削減に乗り出す、入管当局

法務省入国管理局は12月2日から一部改正・施行される「出入国管理法及び難民認定法」にともない、自発的に日本からの出国を申し出た不法滞在者については、日本への再上陸拒否期間をこれまでの5年から1年に短縮する一方で、不法滞在者に課する罰金の上限を大幅に引き上げるなど、不法滞在者の削減に乗り出した。

韓国側は今回の措置を受け、国別で最も多い韓国人不法滞在者問題が改善され、韓国人の日本入国ノービザの実現に期待を寄せている。

法務省が不法滞在者の早期出国・削減に向け今回改正した法律には、「出国命令制度」が新設された。この制度は、早期帰国を希望し、不法滞在以外の強制退去事由がないことなどに該当する不法滞在者が自発的に全国の入国管理局に出頭した場合、身柄を収容しないまま簡単な手続きで出国させるというもの。

出国命令を受けて出国した不法滞在者については、再度、日本入国の際に拒否される期間がこれまでの5年から1年に短縮される。ペナルティーを緩和することで早期出国を促す。

その一方で、強制退去された人が過去にも強制退去されたり出国命令を受けているなどのいわゆるリピーターである場合は、日本入国拒否期間が10年に延長されるほか、不法入国や不法滞在に関する罰金の上限が現行の10倍の300万円に引き上げられ、不法就労を助けた場合の罰金も上限が300万円に引き上げられた。

【改正後の法律】

出入国管理及び難民認定法(平成16年改正)(出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律(平成16年法律第73号)による改正,平成16年6月2日公布,一部を除き平成16年12月2日施行)

治安に対する国民の不安が増大しているところ,その原因の一つとして不法滞在者問題が認識され,その対策が各方面から求められていることから

①不法入国の罪等の罰金刑を大幅に引き上げ
②悪質な不法滞在者に対する上陸拒否期間を10年間に伸長し
③出国命令制度の創設と出国命令を受けた者の上陸拒否期間を1年間に短縮し
④在留資格取消制度を創設するなどした

また,難民のより適切かつ迅速な庇護を図る観点から

①仮滞在許可制度を創設し
②難民として認定された者等の法的地位の安定化を図り
③不服申立制度を見直した

さらに,精神障害者に係る上陸拒否対象者を精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者等で所定の補助者が随伴しないものに限定することとした。

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