◎飲食業=すき間品目に特化
◎販売業=在庫靴をネットで
昨年11月からスタートした「若手経営者・起業家のための兵庫韓商経営塾」がこのほど修了した。飲食・販売の新規事業と経営革新の3チームが実践的な事業展開プランを報告書にまとめ発表、好評だった。次回には新規事業を具体的に実現したいと意欲を見せている。
経営塾は4回目で、主催は兵庫韓国商工会議所(車得龍会長)の戦略研究特別委員会(辛輝浩委員長)。若手の同胞経済人を中心に価値観の多様化した現代社会に対応するため、マーケティングを含めた経営戦略を学ぶ場を提供している。
今回参加したのは、20代から40代までの22人。飲食、製鋼原料問屋、塗装、不動産、中古車販売、清掃、美容、製靴、室内装飾などさまざまな業種が集まった。
まず、「なぜコンビニは伸びるのか」をテーマに基礎講座を受けたうえで6~7人ずつ3チームに分かれ、プロジェクトの内容を決めた。
その結果、「飲食」と「販売」の新規事業と、参加者の1人が実際に営む中古車販売業を対象にした「経営革新」の3つのプロジェクトチームを組んだ。
飲食業チームが提案したのが「ソルロンタン専門店」。その理由として、▽競争相手が少ない▽子どもから老人まで日本人の口に合う▽ヘルシーでリピーターが期待される▽調理後、日持ちする--などを示し、昼と夜の料金設定を変えた。出店地を神戸市垂水区舞子坂を候補にあげ、月間収支分岐点を110万円に設定した。
ほかに店舗のレイアウトや宣伝方法、客層などを分析し、3~5年後には大阪、京都への出店も計画した。
販売業の新規事業は、靴のインターネット販売「神戸シンデレラショップ」。地場産業である靴の在庫品に「KOBE」ブランドの付加価値を加え、インターネットを利用して消費者の希望を聞き、安価で良い品を提供するもの。
25~35歳の女性を対象に、オンラインショップのアンケート、設備投資・運営資金、売上予想などを分析した。
姫路で中古車販売を営む「e‐コレクション」に対する経営革新は、会社の現状分析や長・短所を把握したうえで、経営計画をたてた。利益率を高めるため高価な販売価格帯の車種にシフトしながらオークション販売率を増やしていく。オークション販売を勧める理由として、▽高利益率▽在庫・販売リスクの軽減▽キャッシュフローの好転--などをあげ、さまざまな顧客サービスを具体的に指摘した。
原則的には月1回の研究会だが、本業を終え夜9時を過ぎて集まることもあり、休みを返上して市場調査するなど毎月数回の会合となった。
飲食業チームのリーダーを務めた洪孝子さん(37歳、GIEC英語保育園代表)は、「業種が違うメンバーの意見をまとめるのに苦労した。逆にそれがさまざまな角度からビジネスプランを考えることができ、そのプロセスで得たものはそれぞれの本業に役だつと思う。開業する場合の具体的数字をもう少し詳しくすべき点など、専門家からの具体的な指摘は勉強になった」と感想を語っている。
辛輝浩委員長は「この数年間で若手経営者の経営に対する考え方及び姿勢が確実に変化しているのを実感した。今回は参加者の意向を反映して、プロジェクトチームを設置したが、実際に事業の立ち上げのプロセス、経営改革をマーケティングの視点からディスカッションし、立案するという経験を経る中で、自社の経営状況を客観的に見直すことができ、今後の経営戦略を策定する上で大きなプラスになったと思う」と評価した。
(記事=民団新聞提供)