日銀短観:大企業・製造業の景況感は横ばい

日銀が2日発表した6月実施の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業・製造業が前回調査(3月)と同じ23で、横ばいだった。

円安の進行で想定為替レートを下回る水準が続き、大企業・製造業の今年度の設備投資計画も前年度比11.2%増と上方修正されるなど景気拡大の底堅さを示した。一方で対米輸出の伸び悩みや原材料費の高騰が景況感の重しとなっている。

調査期間は5月28日~6月29日で、対象企業1万839社の98.9%が回答した。業況判断指数は景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値で、数字が大きいほど企業の景況感が良いことを示す。

大企業・製造業を業種別に見ると、景気のけん引役の電気機械は1ポイント上昇の21、価格転嫁が進んできた石油・石炭製品は9ポイント上昇の23と共に3期ぶりに改善した。

一方、米国向け輸出が減少している自動車は5ポイント下落の25で、2期連続で悪化した。国際商品市況の高騰が続く鉄鋼、非鉄金属も悪化した。

大企業・非製造業の業況判断指数も前回と同じ22と横ばい。業種別では、不動産は横ばいの53と高水準を維持。運輸は2ポイント上昇の24と、3期連続で改善した。

一方、小売は2ポイント下落の11と2期ぶりに悪化、飲食店・宿泊は6ポイント下落の11と2期連続で悪化し、個人消費の伸び悩みを反映した。

中小企業の業況判断指数は製造業が2ポイント下落の6、非製造業は1ポイント下落のマイナス7とともに悪化した。

07年度の設備投資計画は、大企業・製造業が前年度比11.2%の伸び率を予測、06年度の同11.7%とほぼ同水準。民間調査機関の事前予測の平均値をやや下回ったものの、企業の設備投資の底堅さを示した。

人手不足感を示す雇用人員判断DIは大企業・製造業が前回より1ポイント上昇のマイナス6と、22期ぶりに不足超過幅が縮小した。大企業・非製造業もマイナス17と16期ぶりに不足超過幅が縮小した。ただ、企業の雇用意欲は引き続き強い。

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