◆両極化現象による錯覚
韓国の体感住宅価格とは異なり、統計上の上昇率がそれほど高くない理由は、政府統計に地方や農村の単独・集合住宅が含まれるからだ。1987年以降の上昇率は、マンションが年平均7.2%上昇した一方、単独住宅は1.7%、集合住宅は3.4%の上昇にとどまっている。物価上昇率を考慮すると、単独住宅は1987年以降持続的に下落していることになる。
地域別上昇率の格差も想像以上に大きい。昨年、ソウルのマンションは24.1%上昇したが、釜山は0.7%、大田は2%下落した。特に、釜山北部のマンションは2003年末以降8%下落している。物価上昇率を考慮に入れた釜山の住宅価格下落幅が大きかったためだ。サムスン経済経済研究所のパク・ジェリョン首席研究員は「一般的に住宅価格が上昇しているように見えるが、上昇しているのはソウル・首都圏に限ったこと」と話した。
◆統計作成上の差との主張も
ドイツ銀行グループアジア太平洋リサーチ代表のマイケル・スペンサー氏も「過去20年間の韓国の家計所得に対する住宅価格の割合を1としたとき、現在の住宅価格は0.5の水準にとどまっており、ソウルのマンション価格も1を下回っている」と話した。江南など特定地域の住宅価格は高騰しているものの、ソウル全体の住宅価格はそれほど高くないという。しかし、一部の専門家らは政府の公式統計を外国の住宅統計と一律に比較するのは一種の「統計の歪み」であると批判する。
住宅公社研究所チ・ギュヒョン博士は「米国などでは実際に取引された価格をもとに統計を作成するのに対し、韓国は売り出し価格で調査するため、上昇率が低く算出されることがある」と指摘した。建設産業戦略研究所キム・ソンドク所長は「海外のように実際の取引価格を中心に統計を出したら、江南地域の上昇率は3‐4倍高くなるだろう」と話した。それに、住宅市場が単独住宅からマンション中心に再編されていることも政府統計と体感住宅価格に格差が生じる理由だ。マンションが住宅の5割を超え、新規供給住宅の9割がマンションであることから、国民が体感する住宅価格はマンション価格そのものだ。建設産業戦略研究所のキム・ソンドク所長は「政府公式住宅統計がグローバルスタンダードにそぐわない。住宅関連統計を再編するべきだ」と話した。