韓銀は世界唯一の「赤字中央銀行」

紙幣を刷る中央銀行が赤字?

中央銀行である韓国銀行で世界でも類を見ない由々しき事態が起こっている。毎年赤字を垂れ流してきた末に、資本蚕食を心配しなくてはならないといった境遇に陥っているのだ。

韓銀は22日、金融通貨運営委員会に提出した「2006年決算報告書」で、昨年1兆7597億ウォン(約2275億円)の赤字を計上したと報告した。これで05年に続く3年連続の赤字となる。毎年大幅赤字を出している韓銀は、さらに積立金をも切り崩している。積立金の残高は2兆ウォン(約2590億円)足らずで、もう一度大幅赤字を出せば資本蚕食が起こりかねない状況だ。

本来、各国の中央銀行は非常に少ない費用で紙幣を刷り、莫大な鋳造差益を上げる。また刷った金を貸すと利子を受けることから、赤字を出すというのは極めて異例なこと。

韓銀も2003年までは毎年数兆ウォンの黒字を出し、1兆ウォン(1300億円)程度の法人税を納付していた。民間企業なら、サムスン電子に次ぎ法人税の納付実績2‐3位となる超優良企業だ。しかしそのような韓銀を赤字に転落させた主な犯人は、通貨安定証券だった。通貨安定証券とは、韓銀が通貨政策を行う過程で市中に流通させる資金を回収する際に発行される債券のこと。

問題は、同証券を発行する韓銀が利子を負担しなくてはならないということだ。韓銀は2003‐05年にウォン高防止のために同証券を大量発行したため、昨年、同証券の利子だけで6兆8000億ウォン(約8800億円)を支払った。こうした莫大な利子費用を払い続ければ、赤字が続くほかない。無理な為替市場への介入の後遺症が結局、韓銀に「世界唯一の赤字中央銀行」というレッテルを貼ることになってしまったのだ。

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