ムンギア氏は携帯電話を持っていない。「携帯電話の端末の値段は米国とさほど差はありません。その代わり、使用料金にはとてつもない差があります。米国では5人分の基本料金を70ドル(約8437円)パックのコースで払えます。通話料金も夜7時から朝7時までは無料です」。
さらにムンギア氏の目には本の値段も不可解に映った。「米国では『ハリー・ポッター』は1巻を1冊にして売っています。少々厚くはなりますが、10ドル(約1205円)程度で買えます。ところが、韓国では不可解なことに1巻を4冊に分けて売っています」。
そこで『ハリー・ポッター』は1冊当たり8000ウォン(約1030円)程度だと教えると、ムンギア氏は目を丸くして驚いた。「では、『ハリー・ポッター』1巻が3万ウォン(約3861円)以上するんですか? 6巻まですべて買おうとすれば20万ウォン(約2万5700円)になるんですね。それなら、わたしは分厚い英語版を読むことにします」。
中島氏は、現地の物価が敏感に反映する外交官の手当ても変わったと話した。「昨年から、米国ワシントンとソウルに駐在する日本の外交官らの滞在費が逆転しました。物価の高いソウルに駐在する外交官らの手当てを引き上げたんです」。
スキャンロン氏は「物価が高いからといって、韓国人は不幸だということにはなりません」と言いつつも、「ソウルは住みやすいか」という記者の質問には首を振った。「教育施設もそこそこで、医療施設もそこそこ。週末に遊びに行くところもそこそこなのに、なぜ物価だけがこんなに高いんですか」。