政情安定で経済成長続ける「VISTA」5カ国


日本のBRICs経済研究所は、「新興工業国の登場により、世界の購買力平価ベースのGDP(国内総生産)に占める新興工業国の割合が、1990年の40.3%から、2005年には47.7%まで増加し、世界経済の“平準化”が進んでいる」と分析した。その中心となっているのが、いわゆる「BRICs」4カ国(ブラジル・ロシア・インド・中国)と、その後を追うように高成長を続ける「VISTA」5カ国(ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン)だ。この5カ国は2000年代中盤に入り、毎年6、7%のGDP成長率を記録している。

BRICs経済研究所は、「VISTA」5カ国の共通点として、豊富な天然資源、労働力人口の増加。海外資本の積極的な導入、政治的な安定、中産階級の台頭の5項目を挙げた。5カ国はこの5項目のうち、少なくとも4項目が該当している。

これらの国々は、天然資源や労働力という、経済発展を目指す上での恵まれた条件を備えているが、かつては政情不安が経済発展の足かせとなってきた。しかし、2000年代に入ると政情不安はほぼ解消され、海外資本が流入するようになり、経済発展が軌道に乗るようになったのだ。

同研究所では、特に「VISTA」5カ国の人口構造が理想的な形態になっており、今後15歳から64歳までの生産年齢人口が爆発的に増加するとの見通しを示している。経済成長の原動力となる人的資源がそれだけ豊富だというわけだ。

5カ国の人口は、2005年の4億6,639万人から、50年には6億254万人まで、30%も増加するとみられている。一方で日本の人口は、出生率低下の影響で、50年までに30%減少すると予想されている。

※ポスト「BRICs」の5カ国、「VISTA」って?

隠れた真珠探し…。中国・ブラジル・インド・ロシアの「BRICs」4カ国に続く新興成長国として、「VISTA」が急浮上している。「VISTA(眺めのいい場所の意)」とは、ベトナム・インドネシア・南アフリカ共和国・トルコ・アルゼンチンの5カ国の英文から頭文字を取ったものだ。昨年12月、日本のBRICs経済研究所代表の門倉貴史代表がこの概念を確立した。

このうち代表走者は、昨年世界貿易機関(WTO)に加入したベトナムだ。

「東京八丁堀にある東洋証券の前で、午前9時の営業開始を待つ行列。“まだ(投信を)買えますか”という問い合わせの電話も絶え間なく聞こえる。当日完売」。日本経済新聞が5日に報じた、ベトナムの証券に注目する日本人の爆発的な関心の一端が垣間見られる。

2002年から最近まで、経済成長率が7%以上も上昇し続けてきたベトナムの昨年の海外直接投資額(FDI=株式ではなく工場などを直接購入すること)は、100億ドル(約1兆2050億円)を超えた。史上最大規模だ。00年代前半は毎年30億ドル(約3615億円)水準だった。米国の半導体メーカー、インテルがマイクロ組立工場に10億ドル(約1205億円)を、日本の電子メーカー、キャノンも1億ドル(約120億円)をハノイ工場に追加投資した。今後投資が期待される企業のリストには、マイクロソフト、IBM、ホンダ、日産など、世界的な大手企業が列を成している。POSCO(ポスコ/旧浦項製鉄) は、インテルの投資額を超える11億ドル(約1325億円)を投入し、冷延・熱延工場を建設する計画だ。

トルコは最近5年間の経済成長率が最高9%を記録し、周辺地域の中で最も高い水準を示している。外国人投資実績は、02年に6億12000万ドル(約737億5211万円)だったが、05年には84億ドル(約1012億2840万円)まで一気に跳ね上がった。昨年、国営通信会社の民営化などの影響で97億ドル(約1132億7940万円)が海外から直接投資として輸入された。これは、ドバイを抱えるアラブ首長国連邦(120億ドル、約1兆4462億円)に続き、西アジア2番目の記録だ。日本貿易振興機構が昨年の日本企業の投資相談を分析した結果、トルコに対する投資相談が225件を記録し、昨年より84%増加した。「BRICs」に属する中国、インドに対する投資相談がそれぞれ5%、2%の増加だったことと比較すると大きな差だ。

アフリカを代表する南アフリカ共和国は、豊富な天然資源の開発により、05年の海外からの直接投資が04年の6倍に達するという、飛躍的な発展を遂げた。01年に2.7%に過ぎなかった経済成長率も、05年には5%に上昇した。トヨタ、ダイムラー・クライスラー、ゼネラルモーターズ(GM)、フォルクスワーゲンなど、自動車メーカーによる投資も続いている。日本のBRICs経済研究所は「全人口の70%を占める黒人らが次第に中産層に成長し、消費層も厚くなった」と分析した。10年にはワールドカップも開催される。

南米アルゼンチンも、03年以降、政治不安の解消や急速な経済回復により、個人消費が成長を引っ張る善循環構造に突入した。03年から昨年までの経済成長率が8‐9%を上下しており、4年間(02年‐05年)の外国人投資も、25億ドル(約3013億円)から100億ドルに急上昇した。

インドネシアの場合、まだ完全には政治的安定が成されていないものの、やはり2億2000万人に達する人口と中産層の増加により、アジアでベトナムと共に浮上する新興市場として評価されている。05年には地震による津波と為替不安、石油価格の大幅引き上げ、バリ島爆弾テロなど、相次ぐ悪材にもかかわらず、04年を上回る5.6%の経済成長率を記録した。

日本のBRICs経済研究所は、05年に9600億ドル(約115兆7760億円)だった「VISTA」5カ国の経済規模(GDP合計)は、50年には26兆8000億ドル(約3232兆800億円)になり、およそ28倍膨れ上がるものと見通した。

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