三重苦にあえぐ韓国経済


韓国経済の3大指標、成長率・物価・経常収支が同時に悪化している。対内的には投資・消費・雇用不振の中で物価が上昇しており、対外的には経済の支柱となってきた経常収支までが原油価格の高騰とウォン高の影響で悪化し始めた。

「三重苦」の影が韓国経済に忍び寄るなか、LG経済研究院は景気が「短期鈍化」でない「長期沈滞」に陥る可能性を警告している。

◆赤字に転落した経常収支

韓国銀行は27日「今年上半期の経常収支は2億7000万ドル(約315億円)の赤字を計上した」と発表した。商品・サービス・資本収支を合計した経常収支が半期ベースで赤字になるのは、1997年上半期(101億ドルの赤字)以降、9年ぶりのこと。

経常収支が悪化すると、企業収入の減少、投資・雇用不振、家計所得の減少につながり、内需悪化→投資縮小を繰り返す悪循環に陥る。経常収支の急激な悪化は、原油高、ウォン高の余波で経常収支の黒字が減少したうえ、海外旅行、研修などによる外貨消費が急激に増え、サービス収支の赤字幅が雪だるま式に膨らんでいるためだ。

韓国シティ銀行マクロ経済チームのオ・ソクテチーム長は「原油、為替など対外条件に改善の兆しが見えないうえ、夏の海外旅行客が急増し、今年のサービス収支の赤字が過去最大になる可能性がある」と話した。

韓国銀行は既に、今年の経常収支予想を当初予想の160億ドルの黒字から40億ドルの黒字に下方修正している。しかし、民間研究機関はさらに悲観的な見通しを立てている。LG経済研究院は、この日発表した「下半期経済展望」で今年の経常収支の黒字予想値をこれまでの37億ドルから22億ドルに下方修正した。

◆揺れる物価

物価が韓国経済の新しい不安要素になっている。

今年に入り2%前半で安定していた消費者物価が早くも3%近く上昇した。特に、3~6カ月後の消費者物価に反映される収入物価が、原油高の影響で4月の6.1%に続き、5~6月にそれぞれ11.3%、9.2%上昇しており、物価上昇はとどまるところを知らない。

特に、庶民が多く利用する軽油の価格が20.8%上昇し、ガソリン価格も8.5%上昇した。韓国銀行は今年下半期、物価上昇圧力はさらに強まるとみている。これに政府による公共料金引き上げが下半期の物価上昇をけん引する見込みだ。

◆墜落する成長率

第2四半期の成長率は前期比0.8%(前年同期比5.3%)にとどまるなど5期ぶりに増加率がマイナスに転じた。政府の不動産規制により建設業界が萎縮し、内需が悪化したためだ。(問題は現在の景気沈滞が一時的現象ではなく、長期的に持続して成長率が下落するという点だ)

LG経済研究院はこの日の報告書で、「第2四半期から出荷が鈍化し、在庫が増える景気下降局面に入った」とし「今回の下降局面は景気循環上でも景気沈滞となる可能性が高い」と述べた。民間研究所は既に今年の成長率見通しを潜在成長率(5%程度、政府推定値)を下回る4%台半ばに下方修正している。

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