日本のワールドカップ商戦


東京では早くもワールドカップが始まっている。サッカースタジアムの代わりにビッグカメラやLAOXのような家電量販店で、サッカー選手の代わりに松下、ソニー、シャープのような家電メーカーが、サッカーボールの代わりに超大型テレビやDVDレコーダーで戦う「ワールドカップ商戦」だ。

特に、インターネット事業に力を入れ「三流家電」に転落したソニーの意気込みは強い。大手家電量販店のメイン陳列台を占領したソニーは、先月からサムスンと共同出資して開発した液晶を搭載した超大型テレビ「ブラビア」の宣伝を大々的に行っている。ワールドカップをソニー復活劇の舞台にしようという狙いだ。

ソニーはサッカーにすべてをかける勢いだ。330億円を国際サッカー連盟(FIFA)に投じ、FIFAの公式スポンサーの地位を獲得した。ソニーの契約期間は8年(2007年~14年)、次回(南アフリカ共和国)、次々回のワールドカップのスポンサー権まで買い付けたことになる。

ソニーがこのような巨額を投じたのは、企業間の競争での勝利と共に、次回のワールドカップからFIFAがスポンサー企業を現在の15社から6社に縮小するためだ。これら6社にはソニー、エミレーツ航空のほか、アディダス、コカ・コーラ、VISAカード、そして韓国の現代自動車が名を連ねている。

サッカーの経済効果は「300億人」という視聴者数(ドイツワールドカップ64試合予想)がすべてを物語っている。テレビを通じたブランド宣伝効果は先進国から開発途上国、老人から子どもまで、国境や性別を超える。2002年の韓日ワールドカップの視聴者数は288億人だった。当時公式スポンサーだった東芝の韓国でのパソコン販売量は2001年より3倍伸びた。「バブルではないか」との業界の批判に、ソニーが「サッカーはスーパーコンテンツ」と答えたのはこのためだ。

広告効果だけでなく、サッカーは経済心理全般に大きな影響を及ぼす。オランダ系銀行ABNアムロは過去の統計をもとに「ワールドカップ優勝国は優勝した年にGDPが0.7%上昇し、決勝で負けた国は0.3%低下する」との分析結果を出した。

日本経済新聞は興味深い数値を報道している。米会計法人デロイト&トウシュの分析によると、世界のサッカー総生産(GFP)は年間4兆円に達するという。GFPはサッカーが産業に及ぼす波及的効果を除いた世界のサッカーリーグ収入、サッカー製品販売、サッカー観戦ツアー、サッカー宝くじなど直接的なサッカー経済の規模を示す。

同紙によると、世界の余剰資金がサッカー市場に向かった結果、欧州ではテレビ局の興亡を左右するほどサッカー経済が拡大した。ドイツの有料テレビ局プルミエールは昨年12月、ドイツサッカーリーグであるブンデスリーガの放映権を他局が取得したため株価が半分以下に暴落した。

しかし、現在のサッカー経済は「バブル」を迎えており、必ず崩壊するとの予想も出ている。1998年のフランス大会と比べ、視聴者数がそれほど変わらないにもかかわらず、10倍以上跳ね上がった放映権が「サッカーバブル」の代表的な例だ。

また、「ファンのためのサッカー」ではなく「企業のためのサッカー」になったとの批判も高まっている。ドイツワールドカップでは、観戦チケット307万枚中16%の49万枚がスポンサー企業に流れており、ファンに販売された一般販売分は36.2%の111万2000万に過ぎなかった。

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