IT大国の韓国で、「グローバルIT企業」が育たない理由

マイクロソフト、アップル、グーグル、ヤフー、ヒューレット・パッカード、サン・マイクロシステムズなどに代表される米国のベンチャー企業は、世界経済を導く主力企業にまで成長した。

しかし、韓国ではこうした期待をかけにくい。リスクテイクの実業家的な活力の不足と、ベンチャー投資会社の消極的な姿勢のために、アイデアが資本を通じて新商品の開発や創業につながる、いわゆる「ベンチャー生態系」が正常に機能することができないからだ。

韓国情報通信産業協会によれば、情報技術(IT)のベンチャー企業数は2005年の7563社から、昨年は5945社にまで激減した。2000年代初め、170社余りに達したベンチャー投資会社も、最近は100社前後にまで減少した。

ベンチャー投資会社である「ソフトバンクベンチャーズ」のユ・スンウン首席審査役は「2000年代初めの『ベンチャーバブル』崩壊後、国内では良いアイデアを持っていても創業しようとする若者たちがほとんどいない」と語った。それだけ創業過程でのリスクを避けているという意味だ。

ベンチャー投資会社の行動も問題だ。特に最近は、投資リスクの大きい新生企業より、投資回収が容易な中堅企業や上場直前の企業への投資に集中している。

韓国ベンチャーキャピタル協会によれば、昨年、国内ベンチャーキャピタル社が創業3年未満の企業に投資を行った比重は36.8%に止まった。残りは創業3~7年(38.0%)になった中堅企業か、7年以上の安定的企業(25.2%)に投資していた。

米シリコンバレーのベンチャー投資会社「アルトスベンチャー」のハン・キム氏は「米国でベンチャーキャピタルは新生ベンチャー企業を育てる決定的な役割を果たしている。投資決定後にも経営状況を引き続きチェックし、事業戦略まで提示する」と話した。

ベンチャー企業は成功確率が非常に低いが、成功した場合は経済寄与度が非常に高い。

米国では100個の創業アイデアのうち、約10個程だけに投資の価値があり、実際に投資が行われるのは1%に過ぎない。しかし、2006年に米国内総生産(GDP)の17.6%がベンチャーキャピタルの支援を受けた企業から発生し、これらの企業が新たに生み出した雇用だけで1億400万、売上げは2兆3000億ドルに達する。

「国内のITベンチャー第1世代」である安哲秀(アン・チョルス)研究所の安哲秀・取締役会議長は「連帯保証という金融慣行のため、創業主らは会社が倒産すると、無制限の責任を負うようになる」と述べ、「創業する人たちが失敗を経験にして、再び挑戦できる機会を与えてこそ、『韓国版グーグル』『韓国版アップル』が生まれる」と語った。

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