一般社団法人在日韓国商工会議所
会長 朴忠弘
2015年の年頭にあたり、謹んで新年の御挨拶を申し上げます。
また、旧年中は当会議所に格別なご理解・ご支援をいただき厚く御礼申し上げます。
今年は、皆様ご存じのとおり韓日国交正常化50周年を迎える大変意義深い年でありますが、残念ながらここ数年来の韓日間の友好関係は、歴史問題等で大変悪くなっています。言うまでもなく、韓日両国は最も近い隣国として、国民意識の差を乗り越えて、調和と共同利益を模索しなければならない関係にあります。
また、両国間は、安全保障上の観点からは勿論のこと、経済的な観点からも、お互いに第3位の貿易相手国として、その貿易総額は9兆円を超える水準であり、切っても切れない関係にあります。そして、昨今の両国関係の悪化は両国間に於ける国家レベルの問題ばかりでなく、私達在日韓国人にとっては生活や事業に大きな悪影響をもたらす関係上、まさに生存上の危機であると言っても過言ではありません。韓日国交正常化にあたる今年こそが、両国の関係改善を図る大きな好機の年であります。当会議所はこの好機を捉え、全国の仲間とともに友好促進のために役立つ事業を進めてまいります。
さて、ここで簡単に当会議所の事情について述べさせていただきます。
皆様ご存じのとおり、当会議所の法人化を巡っての民団との紛糾は早や3年にも及んでいます。この事態の解決のために、大使館のちゅ仲介により本年2月3日に民団と当会議所の間で最終合意書が締結されましたが、残念ながらこれは未だ履行されていません。
しかし、昨年11月27日に東京都内で「在日韓国商工人の和合の集い」が多数の関係者の参加の下で開催されました。この行事は、当初は民団韓商が「韓商連創立50周年記念式典」を予定していたものですが、当会議所の強い中止要求により、大使館が指導・調整した結果、当会議所と民団韓商の統合に向けた「和合の集い」に変更されたものであります。
まだ、解決しなければならない課題は残っていますが、この和合の集いを経て、事態の解決のための合意条件がほぼ整い、その後の同12月3日に、大使館が仲介役となり、全国韓商組織の統合のための統合委員会の発足式が開催されました。ここまでたどり着けたのは、ひとえに大使館のご尽力の賜物であり、大使館関係者皆様に衷心より感謝申し上げます。
私達の在日社会の歴史は100年を超え、私達の在日韓国商工会議所も 1962年に在日韓国人商工会連合会として創立、1992年に商工会議所組織に移行、2012年に一般社団法人化し、今年で52年の歴史を数えています。
一方、グローバル化による経済競争はますます熾烈になり、私達の経済基盤を揺るがしています。
かつては、1万社の会員企業を数えた全国の韓商組織も、今は大きくその会員数を減らしている状況にあります。在日経済がこの難局から脱し、未来に向かって前進するためには、今こそ、在日商工人が協力し、共に行動して、成功のために変化を創造する方法を考えなければなりません。経済力のない社会が発展することはありません。在日社会の存続と発展のためには強固な経済基盤が必要であり、それは全国の韓商組織の統合がなければ実現されないのではないでしょうか。
私は、3年間の紛糾を通じての法人化をめぐる論争は、いたずらに無駄な時間を費やしたものではなく、在日社会が成功に向かって変化するために通らなければならなかった試練であったと考えています。社会の進歩のためには、時には過去と決別し、痛みに耐えて、大きな変革をしなければならないことは歴史が証明するところであります。今、私達は過去を水に流して未来志向で統合のためにスタートを切らなければなりません。
雨降って地固まるという言葉があります。これは雨が降った後は、かえって地面が固くなることから転じた諺で、争いごとの後は、お互いに前よりもよい関係ができるという意味でもあると言われています。この言葉は、在日韓国商工会議所が統合され、法人組織としてより強固な商工団体に転じることを意味するものではないでしょうか。
私は、統合された韓商組織である一般社団法人在日韓国商工会議所が公認経済団体としての利点を生かし、国内外の経済ネットワークの構築を通じて、会員企業の発展、地域貢献、韓日両国の発展に大きく寄与するものと信じています。そして、当会議所は、早期の統合に向かって、より一層、尽力することをお約束いたしますので、引続き皆様のご理解とご支援をお願申し上げます。