第67回「光復節」会長メッセージ

2012年8月15日

一般社団法人 在日韓国商工会議所
会長 朴忠弘

第67回光復節メッセージ

第67回光復節を迎え、民族の試練の歴史を振り返りながら、祖国独立のために尊い生命を捧げられた殉国先烈に心からの感謝と敬意を表します。
我が祖国・韓国は日本の植民地時代35年間の抑圧、そして6・25動乱による国土の荒廃と南北分断の試練を乗り越えて、経済規模(名目GDP)で世界15位の経済大国にまで成長しました。
これは、漢江の奇跡と呼ばれる官民一体となった経済成長・生活向上へ向かっての強い意志による行動と貿易立国を掲げてのグローバルマーケットへの積極的な対応策等により成し遂げられたものですが、更には韓国経済が激変する世界経済の変化に上手く適応できた結果でもあると言えます。
一方で、この67年間、私達の在日同胞社会も大きく変化し、既に1世・2世の世代は年々減少して、3世・4世・5世の世代が中心となっており、年間約8,000名に及ぶと言われている日本国籍取得同胞やニューカマーと言われる新たな同胞が増えています。これらの変化に伴う同胞組織の求心力と同胞間の連帯感の希薄化が進行している状況において、民団をはじめとする既存の在日組織は、在日同胞社会の環境変化に適切に対応しているかどうかについて問われています。言うまでもなく、在日組織は在日社会の発展と在日同胞の幸福に寄与するために存在しなければなりません。組織使命を忘れて守旧主義や権威主義に陥り、硬直化した組織は、自己改革により団員や会員のための自由で風通しのいい組織に進化しなければならなく、変化を恐れて環境に適応しない組織が衰退することは歴史が証明しています。
50年の歴史を有する当会議所は、このような問題意識のもとで本年4月24日に開催された当会議所第50期「定期総会」において、一般社団法人「在日韓国商工会議所」に改組し、正統的に移行しました。
皆様、このたびの一般社団法人化は、当会議所が日本社会でより高い地位向上を目指すだけではなく、未来志向の改革及び大きな前進と在日経済人の更なる発展への強固な礎石として、次世代への架け橋となるものであると確信しております。
なお、法人化した当会議所の役割と使命は、グローバルな経済環境に適応し、民主的、且つ遵法的な組織運営を通じて、公益性の高い在日経済団体としての機能を高めながら、会員の事業発展と成功に寄与し、そして在日同胞社会と韓日両国の発展に貢献することにあります。
しかしながら、今回の当会議所の法人格取得に関しては、誠に遺憾ながら民団との間で、傘下団体からの離脱を巡って紛糾が生じています。この事態により皆様には大変ご心配をおかけしていますことをお詫び申し上げます。
一般的に、社会や組織の改革に際しては、しばしば既成秩序との葛藤や衝突が生じることはよくあることですが、挫折すれば進歩や発展はありません。当会議所の法人化は、組織発展のためには避けて通れない選択でありました。
従って、法人化に伴い当会議所が民団傘下団体から離脱することは、決して民団内部の組織混乱を意図したものではありません。当会議所の役員の中に民団との紛争を求め、民団組織の分裂を望んでいるものなど1人もいません。
しかし、民団は当会議所の傘下団体離脱は、民団組織の弱体をもたらすものであり、絶対に容認できないとして、民団規約を盾に直轄措置を発動し、韓商組織の分裂工作を進めるとともに、当会議所の業務を妨害して在日韓国商工会議所の名称を詐称し、更には役員に対する除名処分を決定する等、理不尽且つ違法な行為を行っています。民団による直轄措置等は日本の関係法令に違反して無効です。
なぜ、韓商組織が民団の傘下団体から協力団体に転換してはいけないのか。民団は50年の歴史を通じて、民団を物心両面で支えてきた当会議所に対し、反民団団体との決定をすることができるのか。民団執行部は既得権益保持のために権力行使を乱発しているのではないか。民団規約は韓日両国の法律や社会規範に適合しているのか。民団は多様化する時代環境の変化に適応できているのか。
今、これら様々な意見が在日社会で交わされています。民主主義は権力の横暴を許さず、経済人は民主主義と自由経済を掲げて権力に屈することはありません。
当会議所は、日本政府から認可された唯一の韓国系商工会議所としての、組織の存続と独立を守るために、今後民団に対し、司法の場で、ことの是非を明らかにしてまいります。
既に8月8日には、「在日韓国商工会議所」会長名を詐称する洪采植氏に対して、東京地方裁判所は「債務者(洪采植)は、『在日韓国商工会議所会長』及び『在日韓国商工会議所』を含む名称を使用してはならない。」との当会議所の勝訴の仮処分の決定を下しました。
しかしながら、今も民団と当会議所の話合による事態の円満解決を目指して関係方面よる斡旋と努力が続いており、当会議所も紛争事態の継続や訴訟による解決を望むものではありません。
民団と当会議所は、在日社会の発展のために奉仕するという共通の使命を有しており、大局的な立場から、円満解決のための努力を怠ってはならないと考えております。
つきましては、皆様のご支持・ご支援を心からお願い申し上げます。
終りに、第67回光復節に臨み、改めて民族の自立と尊厳を守るために犠牲になった多くの先人たちに思いを寄せ、私達に与えられた時代的使命について考えながら、当会議所はこれからも一層、在日社会と在日経済の発展のために尽力してまいる所存でありますので、一般社団法人在日韓国商工会議所に、関係各位の温かいご理解とご支援・ご協力を賜りますよう衷心よりお願い申し上げます。

以上

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